台風迫る、外は雨が降りしきる梅雨の夜
今夜、テレビでは台風が猛スピード日本列島の太平洋沿岸を駆け抜ける、と、何度も伝えている。最近は、梅雨で
晴れ間が続くことがない。雨に濡れるたびに、鉛色の空を見上げる。
ただ、雨のおかげで遅く植えた夏野菜は予想以上に生育がよい。一つの不幸と、そして一つの幸せ。互いに隣り合う不幸と幸せは、まさに表裏一体ともいえる。誰もがそれを阻止することはできない。
自然の現象だけでなく、それは人生にも言えるかもしれない。幸せの数は不幸の数よりは絶対的に数少ない。誰もが不幸に際し、悲しみや怒りを覚える。それらを容易に癒すことは難しい。けれども、不幸を乗り切った後には、時間がかかったとしても、やがて待ちわびた幸せもやってくることもある。
その確率を数字で表すことは不可能だ。それでも、人は幸せを待ちわびる。人生の波は高い、その波を乗り越えるためには相当なエネルギーが必要である。そこで、人生を諦めてしまうのか、それとも不幸をしのぎ切り、明日に希望を見出し、歩き出すかは人それぞれ。台風が迫る夜、ふと人生を顧みる、それも貴重な時間かもしれない。
by手嶋純